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 MUKU-DATA  左から 杉柾目片耳付き、玉椿(浜栴檀)、樟
茶室を作っているそうで、材の選定に設計士さんが来られた。
まずは見た感じと金額、そして使用する材の候補を何点か絞っていく。
渋めの材を探されているご様子、その材の事で知る限りの事はお話させていただく。
一旦数枚の候補を持ち帰り、施主さんと相談されて再び後日ご来店。
今度は材の木取りの指示
使う材を目の前に置いて、木表、木裏と材の状態の確認。
杉柾は片耳残し、D寸法、耳のついた元と末のバランス、どの部分をカットしたら更に良く見えるのか?
など確認している様子。
玉椿と樟は両耳落としのストレートカット
糸を張りギリギリを攻める。
白太の入り加減、糸からのD寸法を確認して微調整しながら耳のどの部分を製材して落とすかなど決める。
・・・・
詳細を書こうと思えばまだまだ続くが、、、
天然ものを相手に設計士さんの意向を聞きながら、一枚一枚その状態を見ながら
どこを木取るか決めていく作業は天然木ならではですよね。
一様にはいかない。
全ての材の木取り方は違う。
天然だから、それは当たり前の作業なのですが、これが後々完成した際の効果に違いが出てくる。
手間のかかる作業ではあるけれど、
木取りのセンスで違いも出てくるので腕の見せ所とも言えるかと。。。
あの人の作る空間って、同じ杉でもなんかどこか違うんだよねぇ・・・
ってのは、こうした細かな手間のかかる目に見えない作業の積み重ねを
されているのかもしれません。
木は全てが違った顔を持っています。
自分のセンス、見立てで、建築部材として木を使う際は
是非皆さんに手間を惜しまずにやっていただきたい作業です。
樟(クス)
ストレートカットする部材はD寸法を考慮して
痛みのある部分を製材して落とす。
木取りの指示の通り、両耳を製材機で落とし加工所へ
玉椿(浜栴檀)と樟
加工を終えた材たち
杉柾目の片耳付き これは玄関の式台用
派手ではないが柾目っていうのが贅沢さを演出する。
玄関の顔なので耳の状態は痛みのないものを選択、
左右緩く弧を描いているのも迎え入れる式台の形としては温かみを感じる。
こちらは玉椿(タマツバキと言われている材種名は浜栴檀)
数寄屋建築資材としては一部に重宝されている材
渋めの色合いと大らかで緩やかな木目は人の心までそうさせてくれる。
仕上げたばかりなので色はまだ薄いが徐々に深みを増してくる
樟、
クスも木目や色は多彩な材種、同じ樟でも随分と見た感じの印象は異なる。
(まぁ、欅も杉もそうですが)
こちらの材は洗面カウンターとして使われるとの事
削りたてなので香りが周辺に漂う
900x300mm程度の小さめの棚板らしい。
そこの棚板、神代にしますか?と尋ねたら、桜の方がいいらしい。
確かにそうかもしれない。
渋めの室内に僅かではあるが桜の優しい華やかさはあってなおいいのかと思った。
今回、選定された材とその組合せは、
なかなか渋めの材の組合せだと思います。
材の好みは材を知り、年を重ねると、好みも変わっていきます。
今回のこれらの材は、一見、地味で目立たないようで、
渋めの路線を攻めているようにも感じました。
木を良く使い知る設計士さんの選定だなぁ・・とも感じました。
是非、色んな材を使っていただき、
各々のセンスで木取りして
個性的な空間が多くなればと願います。